豆鳳凰民いせえびの麻雀備忘録

天鳳七段。豆鳳凰民のいせえびが、雀荘や麻雀本のレビューなどをしています。

【本】無敵の人第9話感想―新展開、雀仙位トーナメント編開幕!

簡単なあらすじ―雀仙位トーナメント編、開幕!

 ミズキが唯一癖の読めない強敵、四代目雀仙位トーカン

 ブイライン社長はそのトーカンをミズキへの新たな刺客とすることを決めた。

 そのことを知った順平は、トーカン「ミズキとの対戦を受けないでくれ」と頼みに行く。

 すると、意外なことにトーカン「M(ミズキ)と対戦する意思はない」という。

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 彼は自らの科学理論の正しさを証明するために麻雀を打っていたにすぎず、人々が実力を疑っている今のMを倒したところであまり意味はないというのがその本心であった。

 拍子抜けしつつもほっと胸をなでおろした順平。

 しかし、事態が急変した。トーカンが条件付きでミズキとの対戦を引き受けると言い出したのだ。

 その条件とは、「Mと自分、そして他の雀仙位6人によるトーナメントを開催する」というものであった。

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 Mが他の雀仙位を打ち破り、実力が世間に認められたところで自分が倒す。それがトーカンの思い描いたシナリオだったのだ。

 こうして、強豪引きめくトーナメントが開催されることとなった……。

今回の感想―急展開の理由は?

 前回の記事では、ミズキとトーカンの戦いがどのようなものになるかについての展開を予想した。二人の戦いはすぐさま行われるものと考えていたのだ。

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 しかし、今回の展開は予想だにしないものだった。

 今後小出しにしていくと思われた雀仙位を一挙に6人、しかもトーカンの噛ませ犬になりかねないポジションで登場させるというものだったからだ。

 突然の急展開。これは作品全体をまとめにかかっているのか、それとも「雀仙編」をスピーディーに終わらせて新編の開始を見込んでいるのか……。現段階ではどちらとも判断がつかない。

今後の見どころ―注目したいポイントは二つ

 この「雀仙位トーナメント編」(勝手に命名)で注目したいポイントは大きく二つある。

 一つ目は、全員の能力がキッチリ描かれるのかである。

 雀仙位と言えばこの漫画における最強クラスのポジションの人びと。

 ただ、現状の展開では一気に六人も出るし、トーカンとの決勝戦に向けた噛ませ犬ポジションにしか見えない。

 その中で、一人一人の能力・特性をきっちり描くのか。そこが一つ目の見どころとなる。

 二つ目は、一対一対一対一の対局がどこまで描かれるのかである。

 麻雀は四人で行うゲームである。だからこそ、四人の複雑な思惑が絡み合い、四人戦ならではのドラマが生まれる。

 麻雀漫画で一対一対一対一の醍醐味を描くのが抜群に上手いのは、やはり片山まさゆきである。『ノーマーク爆牌党』はその真骨頂が現れている。

 この麻雀漫画の醍醐味とも言える四人戦が描かれるのか。それとも一対一の描写になるのか。その点を注目したい。

 

 新展開になり、ますます目が離せない『無敵の人』。今後の展開にも期待である。

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【本】無敵の人第8話感想―雀仙位トーカンの強さの秘密が明らかに!

簡単なあらすじ―トーカンの強さの秘密が明らかに!

 ジャンライン四代目雀仙位トーカンをミズキへの次なる刺客とするために接触を試みた。

 トーカンがいたのは日本トップの大学の医学部の研究室。

 そこで、トーカン人間の行動から感情を読み取れるという理論を説明する。

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強さの裏付けは霊的なものでなく科学的なもの

 

 そして、その実践のために簡単なゲームをジャンラインの社員と行う。

 そのゲームとは、「お互いに両面かシャボ待ちを自由に作り、相手にアタらないと思う牌を交互に打ちあう」というものであった。

 カイジの17歩にも似たこのゲームでは、34種類ある牌の内、32牌を通せば完全勝利となる。

 このゲームを行った結果、トーカンは32牌通して完全勝利を果たした

 続いてもう一度行ったゲームでも再び完勝

 トーカンの強さが明らかになる一方、順平たちはミズキの「トーカンの癖だけは読めない」という言葉に衝撃を受けるのだった。

(かなりざっくりとしたあらすじなので、実際に読むことを強くおすすめします)

感想―想像以上だったトーカンの能力

 前回、トーカンは特別な能力を持っている」「その能力は相手のアタり牌を読める能力」ということを予想した。

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 その予想は一応当たっていたが、想像を遥かに超える部分もあった。

 それは、トーカンが相手の行動を操れる能力の持ち主であるというところである。

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こいつ驚いてばっかだな

 

 相手の行動を操れる。

 その理屈はちょっとわからないものの、麻雀でこれが無敵であるのは間違いない。

 はたしてその能力は感情のないミズキにも通用するのだろうか……。

今後の見どころ―二人の能力はお互いにどこまで通用する?

 今回、雀仙位トーカンの能力が明らかになった。その能力は協力無比で、前回のような豆六段などとは比べ物にならない。

 一方で、ミズキも相手の癖からその手牌を完璧に読み取ることができる。この二人の対局はまさに超人対決となるに違いない。

 しかし、トーカンとミズキの能力はお互いに通用しないのではないかという疑問がある。

 二人の能力を整理するとこうなる。

●ミズキ

・癖から相手の手牌を完全に読み取る

トーカン

・相手の感情から行動(手牌?)を読む

・相手の行動を操る

 二人の能力はこのようになっている。

 しかし、ミズキはトーカンの癖を読めないと宣言しているし、相手の感情を利用するトーカンもまた感情のないミズキの行動を操れないと考えられる。

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こいつも驚いてばっかだな

 

 お互いに自分の武器を相手に使えない。

 こうした状況の中で、はたしてどうやって戦うか?

 一つ考えられるのが、他の二人を利用するということである。

 特にトーカンはこの戦術を利用するものと思われる。

 トーカンは相手の行動を操れるが、感情のないミズキは操れない。そうなったら、ミズキよりも御しやすい他の二人を操ることで自分に有利な局面を作ろうとするのではないだろうか。

 例えば、ミズキのテンパイに対して危険牌を切らせてフリテンにするとか、自分のキー牌を鳴かすといったことが考えられる。

 この展開になると前回の六段三対一と展開が似てくるが、今回の場合は超優秀な司令塔がいる。そのため、ミズキもやすやすと出し抜くことはできないだろう。

 

 お互いの武器が封じられる中でどう戦い、相手の策略をどう切り抜けるのか。

 今後の展開に期待である。

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【本】無敵の人第7話感想―ついに登場"雀仙位"!!

簡単なあらすじ―新たな刺客は雀仙位!

 全国中継されている中で完全勝利したミズキ。

 しかし、世間ではいまだミズキのイカサマを疑う人ばかりだった。

 

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あの中継だったら普通Mだけでなく全員グルであることを疑う気もするが……

 

 そんな中、ミズキの実力を見抜いていた男がいた。

 その男こそが四代目雀仙位「藤環(トーカン)」であり、ブイライン社長が送り込む次の刺客だった……。

 (かなりざっくりとしたあらすじなので、実際に読むことを強くおすすめします)

感想―ついにミズキと同格の正統派ライバルが登場!

 前回、正統派ライバルとして雀仙位がミズキの前に立ちはだかるであろうと展開を予想した。

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 その予想通り、満を持して雀仙位の登場。しかもイケメン

 初登場シーンでは雀荘で相手3人の手を読み切って見事なアガりを見せている。

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むこうぶちの安永さんみたいな台詞

 

 今回はまだ顔見せ程度でその実力の全貌が見えていないが、ミズキと同格の強敵が現れたのは本作品ではじめてのこと。はたして今後どんな戦いが繰り広げられることになるのだろうか。

今後の見どころ―トーカンの能力は何?

 ついに登場した雀仙位。強者の風格を漂わせており、いかにも賢そうな見た目をしている。

 ここで注目したいのは、この雀仙位トーカンがどんな”能力”を持っているかである。

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ちなみに四代目天鳳位はすずめクレイジーさん

 

 リアル志向(=露骨に超常現象的な超能力を出していない)の漫画で能力と言うと語弊がありそうだが、トーカンはきっと特別な能力を持っているだろうと考えられる。

 なぜなら、能力なしに戦っているだけだとそのキャラの強さや個性がわかりづらくなってしまうからである。

 もちろん、これが近代麻雀の作品なら話は別である。現在大人気連載中の『鉄鳴きの麒麟児』『麻雀小僧』などは能力なしでひりつくような緊張感の闘牌を展開しているし、強者はその打ち方で格の違いを見せつけている。また、片山まさゆき『ミリオンシャンテンさだめだ』のように打ち方だけで多種多様なキャラクターを描き分けた奇跡的な作品もある。

 しかし、『無敵の人』が連載しているのは週刊少年マガジンである。つまり、その読者のほとんどは麻雀を知らないであろう中高生なのである。そのため、彼らにも面白さがわかるように戦いを演出し、キャラの強さを表現しなければならない。変な例えになるが、剣豪同士のミリ単位の駆け引きよりも、「最強の剣士と最強のガンマン、勝つのはどっち?」の方が素人目には興味を引かれやすい。漫画の演出の都合上、また読者層を考えると、トーカンもなんらかの能力=強みを持っていると考えるのが自然である。

 今回、トーカンは相手のアタり牌を読み切って1000点をアガるというプレーを披露した。これを単にキャラの凄味の演出であると考えることもできるが、能力に関係しているとした場合、「相手のアタり牌を読める」というMと同質の能力であるとも予想できる。

 そうなった場合、最強の矛VS最強の盾ならぬ、最強の盾VS最強の盾の戦いとなる。鉄壁を誇る相手をどうやって崩していくか。まるでアカギVS市川戦のようである。ルールを知らなくてもコンセプトがわかりやすく、漫画演出的にも盛り上げやすいのでこの展開はあり得るかもしれない。

 

 ついに雀仙位が登場し、盛り上がりを見せてきた『無敵の人』。今後の展開にも期待である。

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【本】無敵の人第五・六話感想―雀仙位(天鳳位)はいつ登場するのか!?

第五・六話の簡単なあらすじ―無事勝利するも、試練は続く?

  相手の国士のアタリ牌である四枚目の西を掴んだミズキ。使いようがないため当然切ってしまうものと思われた。

 

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                          ※死にはしません

 

 しかし、ミズキはそのまま西を捨てることなく持ち続け、しまいには国士をアガり返してしまう

 三対一の公開対局に勝利したミズキ。だが、いまだに75%の人々はミズキのイカサマを疑っているというアンケート結果が出てしまう。

 ブイラインの社長はイカサマ疑惑によって雀仙ユーザーが離れていくことを恐れた。そこで、「今後半年間ミズキに対局の場を設けるから、それに勝ち続けて無敵を証明して見せろ」と迫るのだった。

(かなりざっくりとしたあらすじなので、実際に読むことを強くおすすめします)

 感想―「三対一という不利でどうすれば勝てる?」へのアンサー

 前回の感想では、サインの見破りや敵の仕草によって西がアタりであることを察知して放縦を回避するのだろうという展開を予想した。

  しかし、予想は大ハズレ。正解は「国士を狙うから西を止める」というものだった。(このブログの予想、ほとんど当たっていない気がする……)

 

 ただ、「三対一という圧倒的に不利な状況で、どうやって戦う?」という問いに、「そもそもあまり有効な戦略じゃない」というアンサーを出したのは新しかった。もちろん絞りやアシストを徹底的にやれば状況は全然変わるし、いくら放縦を回避できるとはいっても三人相手に手を回さなければいけないことが不利であることには変わらない。それでも、三人で囲むこと自体の戦略的価値に触れている点は面白かった。

 

 「対三人編」も今号で無事に終了。

 その中でも一番印象的だったのは、やはり作中六段の畜生さ加減だろう。全力で煽り&ディスを行う彼らは、近麻でもなかなか例をみないほどのすがすがしいまでのどクズっぷりで誌面を沸かせてくれた。

 

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               「死ね」の念は基本

 

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         全国中継だろうとおかまいなしの罵倒&罵倒

 

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        そりゃ感情のないミズキくんも煽り返したくなりますわ

 

 彼らの再登場に期待。

 

今後の見どころ―雀仙位(天鳳位)はいつ現れる?

 今後もどんどん対局を強いられることとなったミズキ。その中には今回のように不利な状況下での対局も多く含まれることと思われる。そうなると格下を相手にするという展開も再び現れるだろう。

 しかし、少年漫画にはライバルがつきもの星飛雄馬花形満が、ジョーに力石がいたように、男の戦いにライバルはかかせない。甲斐谷作品でも、『LIAR GAME』にはヨコヤ、『ONE OUTS』には高見という強敵が存在している。

 では、『無敵の人』における最強のライバルとは誰か?

 

 それはもちろん、雀仙位である

 

 第一話でミズキは無敗(連帯率100%)のまま最速で10代目雀仙位となった人物として紹介されている。そして、そこでは他の九人の雀仙位の存在がほのめかされているのである。

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 そう。今後は彼ら九人の雀仙位がミズキを倒す刺客となって現れるに違いない

 そしてきっと彼らはとても個性豊かで魅力的な個性を持っていることだろう。中にはシューティングゲームの達人でノーテン罰符の鬼や、「虎殺し」の異名を持つ雀仙位なんてのもがいるかもしれない。

 

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            ※画像はイメージです

 

 いつ雀仙位が登場してそれはどんなキャラクターなのか。今後も楽しみである。

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【本】無敵の人第四話感想―今後の"読み"描写の方向性が垣間見えた一話

第四話の簡単なあらすじ―トップになるも、大ピンチ!?

 相手の癖(ヘキ)を利用して独走するM。気がついたら60000点オーバーの大トップでオーラスに。

 しかし、ここで相手に四順目国士テンパイという大逆転手が入る

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                親切丁寧な解説

 Mからの直撃なら逆転されてしまうという状況。はたしてMはどうやって国士を回避するのか……。

(かなりざっくりとしたあらすじなので、実際に読むことを強くおすすめします)

感想―"読み"の解説をバッサリ切り捨てるという英断

 前回の感想で、Mの"読み"に再び解説が入るかどうかが一つの見どころになるということを書いた。

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 今回の展開で、Mは癖を利用したことは告げたものの、その内容を明かさなかった。そしておそらく、今後もMの読みが具体的に解説されることはほとんどないのではないのかと思われる。

 前回も触れたが、これは週刊少年マガジンという媒体であることを考えたら仕方のないことだと言える。毎回解説が入ってもくどくなるだけだし、どれだけ理詰めで書いても、書けば書くほど無理が出てきてしまうからだ。

 無理が出てしまうというのは、読みによって相手の手全てを当てることなどできないという身も蓋もない理由による。限定的な状況ならともかく、毎回読みきることなどはできない。仮にイーシャンテンの形を完璧に読めていたとしても、入り目が分からなければリーチの待ちなどわからない。

 そのため、無茶な理屈を立てようとするのではなく、"いっそ説明しない"というのは良い回答だと思う。一読者としては、「"相手がネト麻勢の時、ユーザー名がわかれば相手の手をすべて読める"という能力を持った少年が主人公の麻雀漫画」というスタンスでいきたい。(こう考えると、「ユーザー名を隠した相手に対し、なんとか暴こうとするM」といった展開もありうる…!?)

今後の見どころ―Mは何を根拠にアタり牌を止める?

 次回では、国士のアタり牌を掴んでしまったMが何を根拠としてそれを止めるかが見どころとなる。(もちろん、止めなければ『無敵の人』が終わってしまうので、止めるという前提で)

 

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                   Mが振り込んだ場合

 今回の展開でポイントなるのが、四順目国士テンパイという超レアケースであること。過去の牌譜から癖を見破っているというMの設定からしたら、さすがにこのケースでは癖を読んでの一点読みができないものと思われる。

 そこで、Mが癖を使わずにどうやってアタり牌を止めるかが問題となる。

 具体的に挙げると、

①サインを見破っている

②脇二人の反応から西がアタりだと察する

 といった方法である。

 ①の場合、「どういうサインを出すことでどんな情報が送られるか」といった通しの具体的な内容について言及することになる。しかし、通しに関する描写が少ないことからこの展開は可能性が低いと思われる。

 ②は、『天』で"反射"として紹介されていたものである。通常の場合はまず行えないこの"反射"。しかし、今回の場合は通しによって脇二人がテンパイ者の待ちを知っているという特殊なケースである。しかも、ご丁寧にキレ強打までしてくれている

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             青筋立てて西を切る六段

 これに続いてもう一人の六段も西をキレ強打。記憶力・観察力にかけては天才のMのことだから、この異常さに気がついて西を止めるのではないだろうか。

 相変わらず展開が速く見どころも多い『無敵の人』。第五話は1月27日発売の週刊少年マガジンにて掲載予定

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【本】『無敵の人』第三話感想―通しの解説がない……だと……?

第三話の簡単なあらすじ―三対一となるも格の違いを見せつけるM

 通しを使う三人組相手とネット生中継の下で対局することとなったM。もしもMが敗ければ、その無敗はイカサマによるものだったと公表されることとなる。こうしてMにとって圧倒的に不利な状況での対局が始まった。

 三人組は通しを使ってキー牌を鳴かせ合うことで、簡単に和了を拾う。三人がアガる中、Mはアガれず気づいたらラスに。

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             全国中継で煽りまくるど畜生

 

 しかし、Mはただやられていたわけではなかった。Mは序盤の打ち方をチェックすることで相手のユーザー名が本当のものか見極めていたのだ。そして、Mの逆襲が始まった……。

(かなりざっくりとしたあらすじなので、実際に読むことを強くおすすめします)

感想―通しの説明はなく、かなりスピーディーな展開

 前回の感想で、相手の通しがどのようなタイプのもので、Mがいかにしてそれを逆手に取るかが見どころになるだろうと予想していた。

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 しかし、予想に反して通しの具体的な描写はなかった。具体的なサインの説明はないものの、詳細な手牌の情報が伝わっているという福本方式だった。

 正直この点はかなり意外だった。心理戦の描写が大得意の甲斐谷先生のことだから、この絶好の機会に真骨頂を見せてくれるものだろうと期待していたからだ。

 おそらく、麻雀を知らない少年読者の多いマガジンという媒体であることや、まだ三話目でありスピーディーでわかりやすい展開が求められるという事情に配慮したものと思われる。

今後の見どころ―Mの"読み"の解説は再び入るのか?

 今回、Mは相手の癖(ヘキ)からその手牌を完全に読み取り、そのアガりを封殺した。だが、そこで第一話のような牌理に基づいた"読み"の解説が入ることはなかった。

 解説の省略は少年読者への配慮や作劇のテンボを意識したものと思うが、それが今後も続くのかどうかが気になるところ。練り込んだ闘牌を見どころとする本格麻雀漫画の路線を行くか、少年漫画向けにアレンジして闘牌描写はライトにするのか。

 Mの"読み"は再び解説されるのか。今後の方向性を大きく決定づけるポイントとなるので注目したい。

 

↓(一部界隈で)汎用性の高そうな煽り画像

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【本】『無敵の人』第二話感想―麻雀漫画ファンなら絶対に見逃せない"通し"の見どころを徹底解説

第二話の簡単なあらすじ―三対一に追い込まれた「M」

 順平は「M」ことミズキの強さが不正ではなく本物であることを証明するため、ミズキがネット麻雀「鳳仙」でプレイしている動画を撮影してブイラインの社員に見せることにした。しかし、ミズキがMであることは認められたものの、見えないところで不正をしている可能性があるとして、ミズキの疑いが晴れることはなかった

 そこで、「Mの実力が本物であることを証明するため」として、スタジオで生中継しながらリアル麻雀を打つことを提案される。

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 この提案を受け入れた順平だったが、もちろんこの話には裏があった。

 相手の三人はグルで、通しを使ってMを陥れようとする策略だったのである。こうして、三対一という圧倒的に不利な状況下でMは対局をすることになった…。

(かなりざっくりとしたあらすじなので、実際に読むことを強くおすすめします)

今後の見どころ―いかにして通しを逆手に取るか

 前回の感想で、「いかにしてMが"必勝の理"を積み上げていくかが見どころになる」ことを述べた。そのため、今後は以下のような展開があるだろうと予想していた。

一つの解決策として、特殊な状況下での対局を増やすというものが思いつく。これは、特殊ルールを採用した麻雀や、なんらかの縛りを受けての対局や、相手がイカサマをしている状況など、通常の麻雀と異なる状況での勝負を作中で増やすというものである。この場合、通常の麻雀に比べて不確定要素を減らすことが可能になる上、漫画としてのハッタリも効かせやすくなる。

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 そして、実際にMは"通しを使った三対一"という状況で戦うこととなった。作者がこういう展開にしたということは、緻密な読みによって相手の手を看破して利用するという"必勝の理"をすでに用意していると考えられる。今後の展開に期待できるところ。

 そこで、次回以降の見どころとしては、Mがいかにして通しを逆手に取るかという点が中心となる。

 だが、麻雀漫画ファンとしては、この"通し"についてもっと突っ込んで注目したいところが三つある

それは、

 

どうやって通すのか

何を通すのか

③看破した情報をどう利用するのか

 

という三つである。

見どころ①「どうやって通す?」

 "通し"と一言にいってもその種類はたくさんある。言葉を使ったチクローズや、指で伝える指ローズ、また舞台装置や電子機器を使ったものまである。麻雀漫画では、敵コンビがどんな通しを使っているかがよく見どころになる。

 通しとしてよく出てくるものを大別すると、大きく言葉系、動作系、その他(舞台装置・道具等)に分けられる。

 

●言葉系

・台詞の一文字目(水戸兄弟が使い、安永が見破る『むこうぶち』)

・同じく台詞の一文字目(敵コンビが使うものを桜井章一が見破る『雀鬼』)

●動作系

・リー棒の置き方(仲井戦にて使われアカギが意趣返しをする『アカギ』)

・指の本数で点数を教える(通しと言うほどでもないが、さるとよろずが使用『フリー雀荘最強伝説 萬』)

・切るまでの秒数(老人コンビが使用『哲也』)

●その他

・モスキート音(壁役(覗き役)と合わせて手を通される『HERO』)

・特殊な部屋による覗き(傀がタバコの煙を使って阻止する『むこうぶち』)

・同じく特殊な部屋による覗き(モールス信号と合わせて手を通される。麻雀漫画ではないが、Vシネ『雀鬼』)

 

 ぱっと思いつくだけでこれだけあるので、掘り起こせばかなりのパターンがあることと思う。

 こうした中で、『無敵の人』で使われるのは動作系の通しではないだろうか。

 今回は対局の様子をネットで生中継ということなので、対局中にべらべらしゃべりだす言葉系や、何かしらの装置を必要とする通しは使えないものと考えられる。そうした時、自然に使えるのは動作系の通しということになる。

 さらに、通しに用いる動作は見られていても自然な動きである必要がある。露骨な指ローズは姿勢によるサインは見ている人にバレバレとなるので使用できない。

 こうした制約を考えると、考えられる方法として理牌を用いた通しがある。理牌は対局中にしていても自然な動きであるため、「牌をn枚まとめてこちらに動かしたら~」といった通しを行うことが出来る。これは一案だが、「麻雀中にしていても自然な動作」の中にサインを混ぜるという方針である可能性は高いと思われる。

 また、通しの方法を考えるにあたり絶対に見過ごせないのが、起点となる合図をどうやって送るかである。いくら緻密な通しをあらかじめ決めていても、味方がそれに気づかなかったら意味がない。チクローズの場合は「手の内容を伝える」ことと「通しを送ると気づかせる合図を出す」ことが話すという行為によって同時に行われるため、この問題は発生しない。

 しかし、動作系の通しの場合、その動作を行う前に「これから通しを送りますよ」という合図を出すことが必要となる。麻雀では自分の手や捨て牌、相手の手出しツモ切りなど注意して見るべき箇所が多い。さらに、今回は三人がグルとなっているため、サインを受け取るとしたら他二人の動作を常にチェックしている必要が出てくる。そのため、味方が気づきやすい形で合図を送らなければ、せっかくの通しも見逃される可能性が高いのである。

 これについては「それでも常に集中して全員の動作を見続けていれば見逃すことはない」という意見もあるかもしれないが、甲斐谷先生はこの合図問題に回答を用意していると考えられる

 なぜなら、「サインを送る時にはそのメッセージが見過ごされない工夫をしなければならない」という主張は同じ作者の『ONE OUTS』にて行われているからである。同様の主張を引き継ぐなら、今作『無敵の人』においても合図問題は見過ごされないだろう。(なお、『ONE OUTS』では「常にサインを送り続ける」という回答を出した)

 この合図問題については、「リーチ発声の直後に通しを送ると決めておく」や「上や左の牌から離して置いたら通しの合図」のように、あらかじめサインを送るタイミングを決めておいたり、捨て牌を利用するといった解決策が考えられる。だが考えてみると分かるが、違和感なく気づかれない形で合図を送ることは難しい。

 通しの方法とその合図について、甲斐谷先生がどのような答を用意しているかは大きな見どころである。

見どころ②「何を通す?」

 さて、うまいことばれずに通しを送る方法が決まったところで、次に問題となるのが「何の情報を送るか」である。ちょっとした動きによって伝えられる情報量はわずかでしかない。麻雀牌は34種類もあるため、ある特定の牌を指定するだけでも一苦労である。

 伝えられる情報量が限定的である以上、最も効果的な情報について通しを行わなければならない。自分の手牌13枚の情報を送り続けることは不可能だからだ。そう考えると、やはり待ちの情報が良いのではないかと思われる。それにリーチ時に待ちを送るのであれば、リーチの発声やリーチ棒の置き方、置くタイミングなど、通し開始の合図を出しやすいため都合がよい。

 待ち以外で伝えることが有効な情報としては、持っているドラの枚数トイツ持ちの役牌の情報などがあるが、どうしても地味であるし漫画的に見栄えが悪い。他に効果的なのは鳴きたい牌の指定があるが、これは一気に難易度が上がる。かといって、待ちの情報だけでは通しとしてのインパクトが弱いし、相手側の"必勝の策"とまではならない。

 限られた情報しか送れない中、何を通すのが有効であると考えているのか。そこもまた見どころである。

見どころ③「見破ってどう利用する?」

 ここまでは通しを使う側の事情について書いてきたが、本作の主人公は通しを使われる側である。そのため、通しを見破った上で、それを利用しなければならない。福本作品でおなじみの「逆手を取ってねじ上げる」である。

 ここで問題となるのは、「Mがどこまでの情報を得られたら『そりゃ絶対勝てるわ』と読者は納得するか」である。

 なお、あくまでも問題となるのは"納得感"であるというところも注意が必要。その競技の性質上、相手の手牌がすべて見えていたとしても"100%勝つ"のが難しいのが麻雀である。極端な話、鳴くこともアガることもできないまま、二局で他家が飛んで三着終了ということもありうる。そのため、「これを知っていたら確実に勝てるという情報」ではなく、「これだけ知っていたらそりゃ勝つだろうね」と読者が納得できるラインの情報をMが把握するという展開になる。

 そう考えた時、やはり"待ちの情報"だけでは「それなら必勝できそう」というイメージからはほど遠い。そもそも待ちの看破だけなら漫画的なハッタリを加えれば相手の捨て牌のみからでも可能である。せっかく"通し"というギミックを使っている以上、それを利用することで自分の打ちまわしが決定的に有利になるような情報を獲得するに違いない。

 その一つの形としては、"通しの情報"+"Mの超人的な読み"によって手牌・山読みをするというものが考えられる。例えば相手の"待ちの情報"を取得したとしたら、「序盤に3pが捨ててあるのに2-5p待ちということは三トイツ形であった可能性が高くて他の捨て牌から見るとそのトイツは…」といった形で、通しを看破することで手に入れた情報にMの特性である超人的な読みを合わせることで、"必勝"を納得できるほどの情報をMが手に入れるといったものである。これは一例だが、何かしらの形でMがかなりの情報量を得る展開になるのだろう。

 読者が「すげえ!そりゃM勝つわ!」という情報をどうやって手に入れるのか。ここも見逃せないポイントである。

 

 通しについて長々と考察したが、なんといっても『ONE OUTS』や『LIAR GAME』の甲斐谷先生である。予想を超える闘牌を見せてくれるに違いない。

 『無敵の人』掲載のマガジンの次号は1/13発売。必見である。

 

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